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[アメリカ・勢いづく保守](中)集客上手、メガ教会急増 ◆テレビで伝道、広大な駐車場 礼拝場を埋め尽くした約四千人の聴衆は総立ちだ。演奏に合わせて跳びはねる子連れの女性、宙に手を差し出す若いカップル……。 「主がどんなに私を愛してくださることか!」 専属のロックバンドが歌い上げると、感極まった高齢の男性が心臓発作で倒れ、救急隊が駆け付けた。 コロラド州コロラドスプリングスの「ニューライフ教会」。周囲にはカフェ、本やCDの販売店、託児所が並ぶ。両親の別居で落ち込んでいたジェームス・バネットさん(24)は「ここに来れば安心できる」と笑顔を見せた。 この教会の信者は約一万一千人。米国でこうした「メガ教会(巨大教会)」が激増している。二千人以上が礼拝できる教会(カトリック系を除く)は一九七〇年に十しかなかったのが、九〇年には約二百五十、今年は約八百四十に達した。 ケンタッキー州には信者二万五千人で四千七百台分の駐車場を備えた教会がある。全米一の信者三万人を持つテキサス州の教会の目玉は年間1200万ドルを費やす礼拝のテレビ中継だ。 フィル・ザッカーマン米ピツァー大助教授(宗教社会学)は「入念な調査とサービスのパッケージ化、大規模な宣伝――。メガ教会の成功の原因は民間企業以上に忠実にマーケティングを学んだことだ」と話す。 斬新な布教法とは裏腹に、メガ教会の大半は保守的なプロテスタントの教派「福音派」に属する。福音派にも様々な一派があるが、共通するのは「聖書の言葉が第一」という立場だ。 米国では一九八〇年代以降、宗教回帰が進んでいる。「祈りは日常生活で非常に重要」とする人は八七年の41%から昨年は51%に増えた。信仰に目覚めた人々の多くは、信者集めにもたけた福音派に流れた。実際、ギャラップ社によると、福音派を自称する人は八〇年代後半の33%から昨年は46%に増え、プロテスタント主流派やカトリックを抜いて最大宗派に躍り出た。 メガ教会の激増はこうした流れを反映している。 保守的な福音派はブッシュ大統領の強力な支持基盤でもある。イラク戦争では伝統的なキリスト教各派が平和解決を訴えたのに対し、実質的支持に回った。 ニューライフ教会で毎週、大統領とイラク駐留米兵のために祈りの会を開く信者のパット・ダイクマンさんは「強い指導者と神の助けが必要だ」と話す。 米国のキリスト教に詳しいビル・レナード米ウエイクフォレスト大教授は「今の米国人は何かを信じたい。それに明快に答えたのが福音派であり、メガ教会ではないか」と分析する。 ニューライフ教会の事務所で創始者テッド・ハガード牧師に会った。壁にはブッシュ大統領夫妻と並んで撮った写真。窓の外では新しいビルの建設が進んでいる。市街地のさびれた教会の買収も交渉中という。 真っ白な歯を見せて笑う牧師は自信満々だった。 〈米国人と宗教〉 米ピュー研究センターによると、プロテスタント56%、カトリック25%。国際比較で「宗教は非常に重要」とした人の割合は米59%に対して英33%、独21%、日本12%、仏11%。 読売新聞 2004. 06. 05 |